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ここで紹介するのは、長崎県雲仙市にある建設会社、N鉄工株式会社だ。
同社は、鉄骨部門と建設部門の2つから成るが、売り上げの8割を鉄骨部門が占める、いわゆる鉄工所である。
事業拡大が生んだホウレンソウの不徹底による不協和音同社が和の強化に乗り出したのは、2006年のことだ。
事業の拡大によって広がった社内の不協和音がきっかけだったという。
03年に新工場を建設した同社は、手狭だった本社工場から主力の鉄骨部門を移転すると同時にIS09001認証を取得し、Hグレードという業界最高の格付けに昇格した。
これにより県外の大手ゼネコンや大手設計事務所からの依頼が急増することとなった。
急激な事業拡大に組織が対応できず、トラブルが相次いだという。
「取引環境が激変するなか、社員の意識が変化についていくことができなかったのでしょう。
人間関係が閉鎖的になり、部門間のホウレンソウの不徹底によるトラブルや、設計ミスなどが多発しました。
実は同社の社員は、とある地元の工業高校の建築科出身者がほとんどでした。
したがって社内の先輩後輩は、同じ高校の先輩後輩でもあるのです。
そのため上下関係がとても厳格で、マイナスに作用してしまいました」同社のコンサルティングを手がける藤滓氏はそう指摘する。
鉄工所という職場柄、職人気質の社員が多く、コミュニケーション能力がお世辞にも高いとはいえなかったという。
それに加え、厳格な先輩後輩関係が、言葉による情報の伝達を妨げていた。
早急に意識改革、人間力の強化、組織の再構築が求められた。
「同社から依頼を受け、改革に着手することになったのですが、社員それぞれが他者を思いやり、相手との互恵関係により成り立つ。
和する組織々を目指すことにしました。
経済のグローバル化に伴う熾烈な企業競争を生き抜くなかで、日本企業は競ってアメリカ型の個人主義的な管理手法を導入してきました。
その結果、日本的経営の強みだとされてきた人材重視の一丸経営が、非生産的だと見捨てられてしまいました。
日本特有のチームワークが衰退してしまったのです。
そこで、日本の良さを取り戻すため、N鉄工を。
和する組織.に生まれ変わらせようと、決心しました」(F氏)かつては非生産的だと切り捨てられていた仕事以外の作業の効用まず着手したのは行動基準書の作成だったという。
全社員に参加してもらい、経営理念を日常の行動に落とし込んでいったのだ。
この策定作業を通して、社員たちに仕事の見直しや、チームワーク意識の醸成、管理者のリーダーシップの自覚などを促したという。
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